宮古島での診療開始から約7年、職員の確保や今後の離島での運営に不安を感じていました。
どうしても島を出なくてはならない事情があっても、24時間の医療を提供するためには一緒に働く医師を確保しなくてはなりません。
その医師をサポートする、看護師などの専門職も必要ですが、宮古島の学校は高校までしか無いため、現在でも全国各地から募集してスタッフをそろえています。
当時は、大学病院からの派遣や、ダイビング雑誌の求人広告だけが頼りでした。できるなら、内地に診療所をもう一つ出したいと考えていました。
ある日、神奈川から百歳になるという男性が、診療所を訪ねてきました。
車椅子を押されて診察室に入った百歳の傅吉翁は、淀みなく私に言いました。
「あなたのやり方が気に入っている。私が支援するので、神奈川にも診療所を出しなさい。場所はどこがいい?」
ドクターゴンはちょっと驚きましたが、まあいいやと思って答えました。
「神奈川なら、鎌倉です。」
若いころからオートバイライダーのドクターゴンは、鎌倉~江の島がかつてのツーリング定番ルートで、思い出の地です。
傅吉翁はにこやかに頷くと、ドクターゴンがA4の紙に手書きした理想の診療所の構造図を受け取って帰路につきました。
翌年、送られてきた航空券で鎌倉を訪れたドクターゴンは、常盤口交差点に案内され、理想通りの診療所が完成していることに驚きました。
傅吉翁は少し厳しい顔をして、「あなたがここで診療を始めるために、代わりの医者を探して宮古島に行かせなさい。」と言いました。
その翌年、ドクターゴンはその診療所「鎌倉常盤クリニック」をオープンしました。
その後、診療所の運営がすっかり安定したのを見届けてから、傅吉粋翁は永遠の眠りにつきました。
それまで「白川会」だった医療法人は、傅吉翁の屋号「鳥伝」を戴いて「鳥伝白川会」と改名しました。
現在はスタッフが増えて規模が大きくなり、すぐ近くの笛田に「医療法人鳥伝白川会 ドクターゴン鎌倉診療所」と改名、移転しています。
ドクターゴン鎌倉診療所
〒248-0027Copyright c 2014 医療法人鳥伝白川会 All Rights Reserved.鼻からも検査可能な胃カメラは予約制です。